イジワル社長と秘密の結婚
なに⁉︎ 突然聞こえてきた言葉に、私は思わず足が止まった。

そこには部屋の真ん中で、部長とナオを相手に叫んでいる女性がいる。

一つに束ねた髪が少し乱れていて、痩せた人だけれどキレイな顔立ちをしていた。

周りの社員たちは、呆気に取られ黙って見ている。


「あ、伊原さん」

先に戻っていたらしい課長が、戸惑い気味に私の側へやって来た。

「課長、何があったんですか? あの人は?」

「部長の別れた奥さんらしい。植木の元へ乗り込んできたんだよ」

小声で話す課長に、私は声を上げそうになり口を押さえた。

部長の別れた奥さんが、なんでここに⁉︎ しかも、ナオになんの用なの?


青ざめる部長とナオに、その元奥さんはとんでもないことを言った。


「堕ろしなさいよ!この人の子供を堕ろしなさい!」




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