イジワル社長と秘密の結婚
これは悪夢だと言い聞かせながら、なんとか片付けを済ませた。

週末にしか使わないと言っていたように、部屋数が多い割に、使われている部屋は一つしかないようだ。

そこの部屋に、ベッドやチェストの家具類が置かれている。

「まるで悪夢だな…」

私が心の中で思っていたことを、社長も呟いている。

私の荷物類に布団はなく、この家も寝る場所はここしかないらしい。キングサイズのベッドを目の当たりにしながら、社長が言った。

「とりあえず、ここが寝室だ。予備の布団はない」

「そ、それって一緒に寝るということですか……？」

呆然としながら言うと、社長が睨むように見た。

「仕方ないだろ？ 今日はもう店は閉まってる。なるべく早めに布団を買いに行こう。それから、今後のことも考えないとな」

「は、はい……」

いくらカッコイイ人とはいえ、社長という超がつくほどVIPなステータスを持っている人とはいえ、好きでもない人との結婚なんてイヤ。

早急に、これからのことを考えなければ……。



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