イジワル社長と秘密の結婚
注文を取りに来た若い店員さんに、料理とお酒を注文すると、真由さんが私に言った。

「話ってなに?」

いきなり核心からだけど、こうやって来てもらったのだから、きちんと話そう。

「あの……、お気を悪くさせたらすみません。田辺さんと社長って、昔お付き合いをされてたんですか?」

いきなりこんな質問は失礼だと承知で、思い切って聞いてみた。

ナオの一件以来、私はが決心したことは、真由さんに事実を聞くこと。彼女なら、隠さず話してくれると思ったからだ。

すると、真由さんは困った様な笑顔を向けて、小さなため息をついた。


「社長って、蒼真くんのことよね? どうして、そんなことを聞くの?」

「え? あ、あの……。それは」

しまった。これじゃあ、私たちの結婚を話さないといけなくなる。それとも、蒼真さんが好きだからとだけ、答えてみようか……。

「蒼真くんのことが、好きなのね?」

「はい……」

思い返してみれば、中絶の話が本当なら、私が結婚相手と言ってしまってもいいんだろう。

でも、そんな私から呼び出されて、真由さんは不快に感じるに違いない。軽々しく誘ってしまったと、今さらながら後悔した。

「あのね、伊原さん。実は蒼真くんから、全部聞いてるのよ」




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