イジワル社長と秘密の結婚

「六年もですか？」

付き合っていたことを知り、予想していたとはいえ、かなりショックだ。それも、かなり長い期間だし。


「聞きたかったことは、それだけ？」

私は首を横に振り、一瞬間を置いて言った。

「あの……、実はもう一つ。真由さん、蒼真さんに中絶させられたって本当ですか？」


「えっ⁉︎」

不躾だと思うけど、これは聞いておかないといけない。彼女の答えを待っていると、真由さんは慌てた。

「ちょっと待って。誰からそんな話を聞いたの？」


思い切り動揺している真由さんに、私はイベントの日に聞いた噂話を説明した。

すると真由さんは、大きくため息をつき、しかめっ面をしている。

「なるほどね。犯人はだいたい分かるわ。あいつら、覚悟してなさいよ」

「違うんですか…？」


怖ず怖ず聞くと、さらに深いため息をつかれた。

「違う。そもそも妊娠なんて、していないし」