イジワル社長と秘密の結婚
人を好きになるって、こういうことを言うんだろうな。離したくなくて、離れたくなくて……。

お互いの温もりを感じながら、ベッドの上で抱き合う。

彼の汗ばんだ体ですら愛しくて、目を閉じていても感じる蒼真さんの吐息が心地いい。


どうして、こんなに好きになってしまったんだろう……。強引な結婚だったのに。


「温かいな。咲希の体は」

蒼真さんは、私を優しく抱きしめた。私も、それに応えるように彼を抱きしめる。

「蒼真さんの体も温かいです。この胸は、落ち着きますね」

そう言うと、彼は私の髪を撫でた。この時間を、安らぎに感じる。

「こんな風に、誰かを愛しいと思ったのは初めてだ」

“初めて”という言葉を、素直に受け取りたくて、私は思い切って聞いてみた。

「蒼真さんって、真由さんと恋人同士だったんですね」

「咲希、なんでそれを……」

体を離した蒼真さんは、驚いたように私を見た。そんな彼を見つめながら、小さな笑みを浮かべて全てを話した。

イベントで聞いた噂話から、真由さんに聞いたことを全て……。



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