イジワル社長と秘密の結婚
離婚か……。結婚をして別れるということは、そういうことか。

なんだか、納得いかない図式だけど仕方ない。好きでもない人と、婚姻関係を続けるよりいい。

「分かりました。じゃあ、白紙に戻せる様に頑張りましょう!」

「よし、決まりだな。とりあえずは、仲が良くならないってことを、親父たちにアピールしていくか」

たしかに、父たちに納得してもらってから別れないと、またややこしいことになりそうだ。

「だけど、どういう風にしますか?」

「きっと、定期的に様子を見にくるだろうから、会社でもプライベートでも、俺たちは息を合わせない。まずは、そこからいこう」

「分かりました」

そんな子供じみたやり方で、会長たちが納得してくれるかは疑問だけど、他に方法が見つからない。

とにかく、私たちが仲良くならなければいい。それなら、簡単だ。

「よし、頑張ろうな」


「はい。頑張ります」


この時初めて、私たちは握手をした。思いのほか、社長の手が温かくて大きくて、一瞬ドキッとしたけど……。




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