イジワル社長と秘密の結婚
常夜灯だけの寝室は、思いのほか静かで、息をするにも気を遣う。さすが、閑静な高級住宅街だけあって周りは静かだ。
私たちは、お互い背中を向けたままベッドへと入った。……けれど、眠れない。
さすがに緊張するな……。昨日までは、自由気ままな生活を送っていたのに、今日はこんな状況になっているなんて。
小さくため息をついた時、社長が声をかけてきた。
「なあ、プライベートでは、“社長”って呼ぶのやめてくれるか? あと、堅苦しい言い方も」
「え?」
思わず体ごと振り向くと、社長もこっちを向いた。端と端にいるせいか、意外と距離がある。
「俺も、プライベートくらいは、気を抜きたいから。社長と呼ばれると、仕事モードになるんだよな。蒼真でいいから」
社長を名前で呼ぶなんて、かなり抵抗があるけど、彼の言い分も納得できる。
「お前の事は、咲希って呼んでいいか?」
「えっ? は、はい。構いません……」
社長に名前で呼ばれるのも、かなり抵抗があるな。
「咲希、いろいろ巻き込んでごめんな。なるべく早く解放するから」
呟くようにそう言われ、私も応えていた。
「蒼真さん……。巻き込んだのは、私も同じですから」
少し垣間見えた彼の優しさが、この理解し難い状況を、ほんの少し救ってくれた気がする。
私たちは、お互い背中を向けたままベッドへと入った。……けれど、眠れない。
さすがに緊張するな……。昨日までは、自由気ままな生活を送っていたのに、今日はこんな状況になっているなんて。
小さくため息をついた時、社長が声をかけてきた。
「なあ、プライベートでは、“社長”って呼ぶのやめてくれるか? あと、堅苦しい言い方も」
「え?」
思わず体ごと振り向くと、社長もこっちを向いた。端と端にいるせいか、意外と距離がある。
「俺も、プライベートくらいは、気を抜きたいから。社長と呼ばれると、仕事モードになるんだよな。蒼真でいいから」
社長を名前で呼ぶなんて、かなり抵抗があるけど、彼の言い分も納得できる。
「お前の事は、咲希って呼んでいいか?」
「えっ? は、はい。構いません……」
社長に名前で呼ばれるのも、かなり抵抗があるな。
「咲希、いろいろ巻き込んでごめんな。なるべく早く解放するから」
呟くようにそう言われ、私も応えていた。
「蒼真さん……。巻き込んだのは、私も同じですから」
少し垣間見えた彼の優しさが、この理解し難い状況を、ほんの少し救ってくれた気がする。