イジワル社長と秘密の結婚
さらに、感じ良く思われるようにと、クリーム色のワンピースを指定されたし……。

さらに緩く巻いた髪に、品良く膝丈ワンピースで、これじゃあ、お見合いに気合いを入れていると思われそうで心外だ。

とにかく、話を受けなければ、しつこく言われそうだったから、今日ここに来ただけ。

お見合いは、絶対に断ると決めている。と、心の中で息巻いているとーー。

「伊原、待たせてすまないな」

背後から、中年のオジサマの声が聞こえてきた。

「いやいや、こちらこそ忙しいのにありがとう」

ゆっくりと振り向いた私は、思わず声を上げそうになる。

だって、そこにいたのは、紛れもなく自分の会社の会長と社長だったからだ。




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