イジワル社長と秘密の結婚
渡辺社長たちは帰ったのか、蒼真さん一人しかいない。
「社長……?」
さすがに、課長は怪訝そうな顔をしている。それもそのはずで、“社長”が私に帰ろうと誘っているのだから。
だけど、私たちの関係は秘密なのに、こんなに堂々と声をかけて大丈夫なのか。
すると、蒼真さんはごく当たり前のように言った。
「実は伊原さんとは、帰る方向が一緒なんだよ。以前も、バッタリ会ったことがあってね。夜も遅いし、タクシーで送るよ」
さすが蒼真さん。即興で作った理由なのに、それらしく聞こえる。
課長との時間は楽しかったけど、さっきの含みのある言い方は気になったから、声をかけてもらえて助かったかも……。
「ああ、そうだったんですか。じゃあ、伊原さんは帰った方がいいな」
課長は愛想よくそう言うと、立ち上がった。強引さのないところは、課長の素敵なところだと思う。
「課長、今夜はありがとうございました」
「いや、俺の方こそありがとう。楽しかった」
自分の食事代を出そうとすると、課長は頑なに拒んだ。申し訳ないと思いつつ、今夜は課長に甘えることにした。
「社長……?」
さすがに、課長は怪訝そうな顔をしている。それもそのはずで、“社長”が私に帰ろうと誘っているのだから。
だけど、私たちの関係は秘密なのに、こんなに堂々と声をかけて大丈夫なのか。
すると、蒼真さんはごく当たり前のように言った。
「実は伊原さんとは、帰る方向が一緒なんだよ。以前も、バッタリ会ったことがあってね。夜も遅いし、タクシーで送るよ」
さすが蒼真さん。即興で作った理由なのに、それらしく聞こえる。
課長との時間は楽しかったけど、さっきの含みのある言い方は気になったから、声をかけてもらえて助かったかも……。
「ああ、そうだったんですか。じゃあ、伊原さんは帰った方がいいな」
課長は愛想よくそう言うと、立ち上がった。強引さのないところは、課長の素敵なところだと思う。
「課長、今夜はありがとうございました」
「いや、俺の方こそありがとう。楽しかった」
自分の食事代を出そうとすると、課長は頑なに拒んだ。申し訳ないと思いつつ、今夜は課長に甘えることにした。