イジワル社長と秘密の結婚
これは、とても良くない態勢だ……。蒼真さんは首筋にキスをしてきて、さすがに私は強く抵抗した。
「やめてください。蒼真さん、さっき課長の誘いに乗るなと言われましたよね? だったら、蒼真さんの誘いにも乗れません」
真っ直ぐ彼を見据えると、蒼真さんは私から離れてくれた。意外にあっさり分かってもらえ、かえって心配になる。
本当にやめてくれたんだろうか……。
「今回は分かった。無理強いながらやるのは、俺も趣味じゃないし」
その言い方、なんだかカチンとするな……。蒼真さんの趣味とタイミングに、私が合わせる必要はないと思うけど。
悶々としていると、彼が手を差し出した。
「せめて、もう少し近くで寝る?」
「え? どうして……?」
蒼真さんは、なにを考えているんだろう。すると、彼が小さく笑みを浮かべた。
今まで、見たことのない優しい笑みを。
「咲希にとって、不本意な結婚なのは百も承知だ。でも、お互いいがみ合うより、歩みよる方が建設的だろ?」
「蒼真さん……」
これが、“彼らしい”考え方なのか。私には、まだ蒼真さんが分からない。
だけど、彼なりの優しさなのかもしれないと、少し思えた。
「やめてください。蒼真さん、さっき課長の誘いに乗るなと言われましたよね? だったら、蒼真さんの誘いにも乗れません」
真っ直ぐ彼を見据えると、蒼真さんは私から離れてくれた。意外にあっさり分かってもらえ、かえって心配になる。
本当にやめてくれたんだろうか……。
「今回は分かった。無理強いながらやるのは、俺も趣味じゃないし」
その言い方、なんだかカチンとするな……。蒼真さんの趣味とタイミングに、私が合わせる必要はないと思うけど。
悶々としていると、彼が手を差し出した。
「せめて、もう少し近くで寝る?」
「え? どうして……?」
蒼真さんは、なにを考えているんだろう。すると、彼が小さく笑みを浮かべた。
今まで、見たことのない優しい笑みを。
「咲希にとって、不本意な結婚なのは百も承知だ。でも、お互いいがみ合うより、歩みよる方が建設的だろ?」
「蒼真さん……」
これが、“彼らしい”考え方なのか。私には、まだ蒼真さんが分からない。
だけど、彼なりの優しさなのかもしれないと、少し思えた。