イジワル社長と秘密の結婚
「そ、蒼真さん?」

鼓動が一気に速くなる。蒼真さんの温もりが、じわじわと感じられた。

「いい子にしてたか?」

耳元で囁くように聞こえる彼の声は、いつになく色っぽい。というより、そう聞こえているのか……。

「は、はい……」

「本当に? 迫田課長とは、会ってない?」

「もちろんです。仕事で話すだけでしたから」

まったく、会いたい気持ちにはなっていなかった。むしろ、蒼真さんからまた連絡がくるかなと、期待していたくらいで……。

「それなら安心した。咲希は俺の奥さんだから、留守中に他の男と会うのは禁止だ」

そう言った蒼真さんは、私をゆっくり振り向かせると、唇を重ねた。

「ん……」

濃厚なキスに、体が熱くなってくる。今までは、キスをされて抵抗していたのに、どうしてしないんだろう。

当たり前のように、彼のキスを受け入れていた。

「咲希、今夜は早く帰るから、きみも早く帰ってきて」
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