イジワル社長と秘密の結婚
目は閉じていても、頭はしっかり冴えている。どれくらい経ったか、お風呂を終えたらしい蒼真さんが、寝室へ入ってきた。

社長の仕事も大変だな。こんなに遅くまで仕事をして……。

そんなことを考えていると、ベッドへ入ってきた蒼真さんが、私の唇に軽くキスをした。

途端にときめく気持ちと、課長に不本意ながらもキスをされた罪悪感とで、心は入り乱れる。

「蒼真さん……」

眠ったように見せかけるつもりだったのに、たまらず声をかけていた。

すると、隣で目を閉じていた蒼真さんが、ゆっくりと目を開けた。

「咲希……。ごめん、起こしたな」

「大丈夫です……」

サイドテールには、結婚指輪をつけたネックレスが丁寧に置かれている。それを見ていると、より罪悪感が生まれた。




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