イジワル社長と秘密の結婚
鋭すぎる……。これはもう、どう答えたらいいか分からない。

仕事中だから、あまり話をする時間はないし。とにかく、今は話さないでおこう。

「そんなことないですよ。それより蒼真さん、あまり遅くなると不審がられますから」

と言うと、蒼真さんは渋々ながら、私にツール作成の細かな指示をした。こういうところは、本当に有能な社長といった感じで、指示が的確だ。

私はメモを取りながら、明日中の完成を約束する。

「それじゃあ、蒼真さん。また夜に」

この調子だと、帰ってから詰問されそうだな。そのときは、ちゃんと話さなくちゃいけない……。

席を立った瞬間、

「ちょっと待て」

蒼真さんは私の腕を掴むと、引き寄せた。
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