イジワル社長と秘密の結婚
「蒼真さん⁉︎」

至近距離に顔があり、ドキドキと胸が高鳴る。ほんの少し前の私なら、間違いなくそう思わなかった。

むしろ、課長の笑顔の方にときめいていた。それなのにーー。

「咲希、もう離婚をするなんて考えるな。おれは、そんなつもりはなくなった」

「そ、それは私もです……」

ちょっと怖いくらいの口調なのに、さらにドキドキしてくる。

「本当に? ボーっとしてるのは、課長のことを考えているからとか?」

「違いますよ。それは、違います……」

ある意味、課長のことは考えているけど、好きだからではない。否定をすると、蒼真さんは冷静に私を見た。

「それならいいけど。咲希、きみは俺のものだ」

蒼真さんはそう言うと、キスをしてきた。
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