イジワル社長と秘密の結婚
疑惑
信じられない気持ちのまま、重い足取りで帰宅をする。あの話は本当なのか……。疑心暗鬼で家にいると、蒼真さんが帰ってきた。
「ただいま、咲希」
「おかえりなさい……」
いやだな……。まともに顔が見られない。視線をそらした私に、蒼真さんが声をかけた。
「途中、課長と抜けてたろ? なにか言われた?」
気づいてたんだ。さすが蒼真さん。もう誤魔化す理由はないから、全部話してしまおう。
私も、真由さんのことを聞きたいし……。
「実は、告白されてキス……されたことがあったんです。それで、今日また告白されて」
私からの突然のカミングアウトに、蒼真さんは絶句している。予想外の出来事なんだろうけど、それは私も同じだ。
まさか、この結婚の裏に、失われた命がある……? それを考えたら、いたたまれない。
誰かの不幸のうえに、自分たちの幸せなんてあるはずないもの。
「私、課長に返事をしきれてないんです」
と言うと、蒼真さんは途端に険しい顔になった。
「なんでだ?」
それはタイミングを逃していたから……と答えようとしたら、彼は責め立てるように言った。
「課長が好きだからか? 憧れだったんだよな。やっぱり、彼がいいのか?」
「そ、そうじゃないです」
なんで、そうなるの? キスをしたと言ったから? だから、私の気持ちを信じられなくなった?
切なさが込み上げつつ否定しても、蒼真さんは硬い表情を変えなかった。
「じゃあ、キスをなんで受け入れた?」
「ただいま、咲希」
「おかえりなさい……」
いやだな……。まともに顔が見られない。視線をそらした私に、蒼真さんが声をかけた。
「途中、課長と抜けてたろ? なにか言われた?」
気づいてたんだ。さすが蒼真さん。もう誤魔化す理由はないから、全部話してしまおう。
私も、真由さんのことを聞きたいし……。
「実は、告白されてキス……されたことがあったんです。それで、今日また告白されて」
私からの突然のカミングアウトに、蒼真さんは絶句している。予想外の出来事なんだろうけど、それは私も同じだ。
まさか、この結婚の裏に、失われた命がある……? それを考えたら、いたたまれない。
誰かの不幸のうえに、自分たちの幸せなんてあるはずないもの。
「私、課長に返事をしきれてないんです」
と言うと、蒼真さんは途端に険しい顔になった。
「なんでだ?」
それはタイミングを逃していたから……と答えようとしたら、彼は責め立てるように言った。
「課長が好きだからか? 憧れだったんだよな。やっぱり、彼がいいのか?」
「そ、そうじゃないです」
なんで、そうなるの? キスをしたと言ったから? だから、私の気持ちを信じられなくなった?
切なさが込み上げつつ否定しても、蒼真さんは硬い表情を変えなかった。
「じゃあ、キスをなんで受け入れた?」