あの日のように。
「蘭ー?ご飯よー」
階段の下からお母さんが叫びながらあたしを呼んでいるのが分かった。
お母さん、もう帰ってたんだ。
気付いたらあたしはベッドの上に横になっていた。
いつの間にか眠ってしまっていたみたい。
しかも制服のまま。
「今下りるー」
あたしは部屋着に着替えてキッチンへと下りた。
この頃、あたしは先程まで雄太とメールをしていたことなんてすっかり忘れていた。

キッチンへ下りると、テーブルにはお母さんと柊兄がすでに座っていた。
「柊兄おかえり」
「ただいま。今日は何もなかったか~?」
「何もって?」
「ん~・・・男子にいじめられたりしてないか?」
「してないよ(笑)小学生じゃないんだから」
柊兄のシスコンぶりもそろそろヤバいかも。
「何かあったらすぐ連絡するんだぞ!飛んでいってやるからな!!」
「ありがと、ありがと」
この上ないくらいの棒読みで見事に柊兄を丸めこんだ。
あたしの少し冷たい対応に柊兄はシュンとしていた。
「いいから。ほら、食べるわよ」
「はーい」
お母さんが呆れたように話した。

それから3人で楽しく、いつものように夕飯を終えた。
あたしが部屋に行こうと階段を上がりかけると柊兄があたしに叫んだ。
「蘭ー?明日俺が送っていくからなー!!」
「急にどうしたのー?」
あたしは柊兄の顔が見えないまま答えた。
「明日休みなんだよー!久しぶりにチャリなー!」
「・・・・・・わかったー!」
またあのヘンテコなチャリで行くのか・・・と思ったけど、しぶしぶ了解した。
歩くよりはマシだし、あんなノリ気な柊兄は久しく見てないから断るのも可哀そうだと思った。
明日は何時に起きようかな~?
なんて考えながら、部屋へと向かった。
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