あの日のように。
ホッと胸をなでおろしながら、深咲の名前の1つ上を見てみる。
「あれ?斉藤君の名前もあるよ?」
「ウソッ?!」
深咲は目を丸くして、クラス表に飛びついていた。
「よかったね」
今の深咲は目を細くして幸せそうに喜んでいる。
これが本当の女の子の顔なんだろうなぁ。
斉藤君っていうのは深咲の彼氏。
男子バスケ部のキャプテンで、とっても爽やかなスポーツマン。
それにとても整った顔立ちをしている。
テニス部での練習を一生懸命にしている深咲に斉藤君は一目惚れしたらしく、それから数日後の練習終わりに斉藤君が告ったらしい。
結果はもちろんOK。
なんであたしがこんなに知っているかというと、いつもあたしが深咲の近くにいるから斉藤君の“告白大作戦”の相談相手に真っ先に狙われたからである。
いつも2人を見ていると、ラブラブすぎてこっちまで恥ずかしくなってくる。
「やっぱり彼氏と同じクラスなんて、この上ない幸せ♪」
はいはい(笑)
あたしが鼻の下を伸ばしている深咲に呆れていると、誰かがこちらに手を振りながら走ってくるのが見えた。
「みーさきー!」
「諒介っ!」
あらあら彼氏さん登場。
「おはよう諒介」
「おはよう深咲」
なんか語尾にハートマークがついているように見えるのはあたしだけ?
「おはよう斉藤君」
「蘭ちゃんおはよう。っていい加減“斉藤君”はやめない?諒介でいいよ」
「あ、うん」
その後は、3人で他愛もない話をしながら【2-B】のプレートが下がる部屋へと向かった。


あたしはこの時、あなたに全く気付かなかった。
教室の窓から悲しそうな目をして見下ろすあなたを。
気付いていたら、もっと時間を共にすることができたのかな?
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