あの日のように。

にりん

あたしたちは教室に入った。
まだ誰も来てないせいか、ガランとしている。
静かすぎて気がつかなかったけど、1人、窓の外を見ている男子がいた。
「あれ?雄太じゃね?」
諒介君がその男子に声をかけた。
「おう。諒介じゃん」
「何何、2人知り合い?」
深咲が諒介君と“雄太”という人を交互に指さしながら質問した。
「家近いんだよ。こいつと。まぁ幼なじみ?」
“雄太”って人はよく見てみると綺麗な顔立ちをしている。
切れ長の目に、高い鼻。こういうのを“カッコいい”という部類に入れるんだろう。
絶対に女の子は放っておかないよなぁ・・・。
ってか、あたし何考えてんだろ。
「幼なじみなんてモンじゃねーだろ。ただの腐れ縁」
「はいはい」
なんだか、2人の会話を聞いているとすごく仲がいいんだろうなぁって思う。
「そちらさんは?」
“雄太”という人が深咲の方を見ながら諒介君に聞いた。
「こいつは俺の彼女♪佐倉深咲」
諒介君が深咲の肩に手を置きながら答えた。
「深咲です。あの・・・あなたは?」
「あぁごめんごめん。俺は紺野雄太。“雄太”って呼んでね」
「深咲がカワイイからって取るなよ!」
「取んねーよ。ムカつく野郎だけど仲良くしてやってね?」
「ムカつく野郎ってなんだよ!」
あたしは2人のやり取りがおもしろくてずっと見ていたかった。
すると、次はあたしの方を見て諒介君に聞いた。
「この子は?」
諒介君に聞いていたけど、深咲が答えた。
「この子はあたしの親友の成瀬蘭」
「蘭です」
「よろしくね、蘭ちゃん」


これがあなたとの出会いだったね。
この出会いがあたしの人生を変えたの。
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