愛で散れる夜の純情
第ニ章
あんなに満開だった庭の桜は瞬く間に散って行った。
不思議な出会いから一月が経とうとしていたが、少女は現れないまま。
「おっはよ〜う桜ちゃん!」
「おはようございます。風雅さん」
三年生に進級し風雅と同じクラスになった。
これで高校の三年間はずっと同じクラスだったことになる。
「な、な、聞いてよ!」
「また例の彼女ですか?」
「ビンゴ!」
目の前の席に跨がると風雅は親指を立てた。
朝から無駄に高いテンションがウザったくてへし折ってやりたくなる。
私は新しいクラスの雰囲気が嫌いだった。
「ねー見て見て!またあの二人一緒にいるよ」
「イケメンが並ぶと迫力あるよねぇ」
「でも風雅はともかく紅夜は彼氏とかにできないタイプだよね。なんかさぁ怖くね?オーラが!」
言えてるーっ!
きゃはははっ♪
すぐ近くに響くミーハーな声に風雅の眉間にシワが寄った。