愛で散れる夜の純情
噂をすればなんとやら。
その日、いつものように帰宅して私は思わず目を丸くした。
「…なにをしているのでしょう、この方は」
自室の障子を開けた途端、目に入ったのは例の金髪。
長い黄金色が押し入れに仕舞ったはずの私の布団に包まって寝息を立てていた。
「はぁ、」
猫のような人だ。
気まぐれで行動に予測がつかない。
「そろそろとは思っていましたが、これは予想外の登場の仕方ですね」
得体の知れない男の家でよく無防備な寝顔を晒せる。
呆れながら近づいて髪を撫でるが起きる気配はない。
私はいつも通り自分の荷物を片付け始めた。