愛で散れる夜の純情
「…よっ!」
着流しに着替えて縁側でお茶を啜っていると、髪に寝癖をつけた少女が片手を挙げて挨拶してきた。
「おそようございます」
「厭味かてめぇ。帰ってきてたくせに何で起こさねーんだよ!」
「知りませんよ。勝手に寝ていたのは貴女でしょう?」
「…チッ」
荒々しく舌打ちしたかと思えばズカズカと歩いてきて隣に座りだす。
少女は図々しくもお茶菓子を頬張り始めた。
遠慮というものを知らないらしい。
「家にどうやって入ったんですか」
「お前が来いって言ったんだろ!」
「…もういいです」
話が噛み合わない。
面倒臭い。
家に来た事実があればそれでいいと思い直し、私はお茶を一啜りした。