愛で散れる夜の純情
「…あぁ、そうでしたね」
今まで触れてこなかったが、少女は全身血まみれだった。
パッと見ではそれが本人のものなのか他人のものなのか判断しかねるが、息の仕方が不自然なので彼女自身も少なからず怪我を負っているのだろう。
「…大丈夫ですか?」
取って付けた様に微笑む。
酔狂なのは私も同じだ。
「はっ…」
一瞬驚いた顔をした少女は途端に皮肉に満ちた笑みを零し、ぐったりとして動かなくなった。
どうしましょうか、これ。
金髪や深紅に次々と張り付いていく花びらを見つめて考える。
とりあえず客人を待たせすぎていることを思い出した私は屋敷に踵を返した。