愛で散れる夜の純情




「辛いのでしょう?そのまま寝てしまえばいいじゃないですか。家には連絡して差し上げますよ」

「うっせぇ大丈夫だっつってんだろ。自分で帰っ――」


ぐらり。
倒れそうになった少女を反射で受け止めた。
大きく身長差がある訳じゃないので自然に抱きしめる様な形になる。

体制を立て直そうと彼女が両手を私の胸元に押しつけた時だった。



「―――――っな?!」


すぐ近くで叫ばれて眉を寄せる。
騒音は好きじゃない。
さっと彼女から離れて様子を窺う。
ふるふると震えるその四肢はどうやら熱のせいじゃないようだ。


「お前、女じゃないのか!?」


まさか、といった風に疑問を投げかけられる。
答えは是だ。
よく間違えられるが私は男だ。


「ええ。今更ですか?」


漆黒髪は普通の長さ。
白い肌に髪と同色の大きな瞳。
体系は細いがうっすらと筋肉はついている。


喋り方のせいもあってよく髪の短い女の子に間違われるのだ。



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