先生とわたし。
入学式が終わった
校長の話はよく長いって言うけど
それはどこの学校でも同じだ
美咲の入学した高校の校長も
やっぱり話が長くて、今ここに貧血をおこしかけている
生徒が約1名。
(頭痛ぁ・・・)
美咲こと、蒼井美咲は
フラフラとした足取りでさきほど発表された自分の教室
1-Aに向かっているところだった
ドカっ
「ご、ごめんなさい!!」
途中、誰かにぶつかり咄嗟に後ろを振り返った
そこにはスラっとした黒いスーツを身にまとった男性がいた
「いえ、こちらこそ・・・」
急いでいたのか
そう呟いてその人は自分の向かっていた方へ
再び早足で去っていった
(生徒?いや、先生だよね?)
一瞬、先生か生徒なのかが分からなかった。
けど、スーツを着ていることから、先生だとなんとなく分かることができた
ただ確かに見えたのは
大きいとはいえないけれど、どこが存在感みたいなものがあるような、
茶色く、優しげな・・・
でもどこかに、寂しさを内に秘めてるような
右の瞳だった
それは、とても印象的なものだった。