ハツ☆ラツ
「ちょっと、こっち来て」
「なんで?」
「いいから。」
「・・・。」
「髪になんかくっついてるよ?」
「そう?」
髪に手を伸ばす利恩。その手を払って、
不意打ち・・・。
俺の心臓の音が聞こえないように・・・
怪しまれないように、
そっと、キスした。
「ギャー!」
「え!?」
真っ赤な顔で悲鳴・・・。
一斉にこっちをみんなが向く。
「ごめん。」
「いや・・・初めてだったから。」
早いよな、はやいよな・・・速いよな。
だって!一日も経ってないし!
でもここで認めさせておかないと、
利恩が何されるか分からないし。
それより、ギャラリーが!
女子は騒いで、男子は呆然。
そりゃ、そうだよな。
朝っぱらから、仲の悪い波音の元カノと
靴箱でキスしてんだもんな。
それで、利恩叫ぶし。
あれ?ファーストキスだよな?
お互い。
やるねー、俺!
何かキスって青春じゃん!
いいね!
キス。
そんなことを想いながら、長い廊下を歩く。
*
康平
えっ!?
昨日の彼氏が利恩とキスしてた・・・。
「僕が、利恩の・・・。」
膝ががっくりと落ちる。
周りの女の子達に聞くと
淡石と付き合っていたけど、
振られて・・・。
昨日の久って奴は、神田久人。
この学校で一番の男らしい・・・。
僕がこの学校で、
一番になってやる・・・。
転校生の僕はあっという間に
知られて、次の日には告白を
2回もされた。
まぁまぁかな・・・。
*
利恩
頭の中。パニくって何も考えられない。
朝だし、靴箱だし。
まだ付き合って24時間経ってないし。
何でとどうしての連鎖で
頭いっぱいいっぱい。
で!
「何で校長室にいるの?」
「何でだろうね?」
「久くんのせいでしょ?」
「なーんにもしてないよ?」