『短編』紙婚式
店に入ると、ウエイターさんに、
「お待ちしておりました。さあ、こちらへどうぞ」
と、予約の名前も告げないまま、奥まった個室へ案内された。
その個室には、小さな暖炉があり、レンガの壁にはお皿が飾られていた。
「素敵だね」
店内の装飾を眺めながらそう呟くと、
「よかった、気に入ってもらえて」
と、亮はにっこり微笑んだ。
わたしが席につくと、亮はこほんと咳払いをし、
「菜々さん。目を閉じてください」
と言った。
「う、うん」
わけがわからないまま目を閉じてじっと待つ。
すると。