『短編』紙婚式



「なんだぁ……」



安堵でまた涙が溢れだす。



「じゃあ、この前トイレで言ってた『僕は、君だけを愛してる』っていうのは?」



すすり泣きながら尋ねると、



「あ、あれ、やっぱり聞こえてた?」



と、苦笑いした。



「あれはね……」



亮がそう言うと、ワインを持ったウエイターさんがやって来て、ボトルをそっとテーブルの上に乗せた。



涙で潤んだ目でそのワインボトルを見ると。


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