さくらんぼなあたしと王子様
トントン。

カチャッ。

「クッキー焼けましたよー。」

グッとタイミングなのか、

それともそうでもないのか、

優依梨ちゃんがお部屋に入ってきた。

「言われた通り、さくらんぼ型作ったよー。
自信作だよ、これ。
飲み物、莉愛お姉ちゃんはイチゴオレで
お兄ちゃんは、コーヒーだよね。」

殺風景な桜羅くんのお部屋にある、

黒色のガラスの机の上にお皿を置き、

優依梨ちゃんの声は止まった。

「お兄ちゃん?」

こっち側を振り向いた優依梨ちゃん。

「空気読め、アホ。」

優依梨ちゃんにまで、裏な桜羅くん。

「ご、ごめんなさいっ!
続きをどーぞ!!」

顔を赤くさせ、優依梨ちゃんはお部屋を

大慌てで出た。
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