オオカミ先輩の猫かぶり
「陸ってそんな積極的なやつだったんだ~。」



ニヤニヤしながら冷やかすように言う玲奈先輩。



「黙って。玲奈。」



陸先輩は不機嫌そうにしている。



本当にこんな陸先輩初めて見た。



「あー怖いね、紗和ちゃん?」



「あ…いえ。先輩はいつも優しいです。」



陸先輩はいつも誰にでも優しくて、私にも本当に優しくしてくれる。



でも、玲奈さんに対する態度が本当の自然体の先輩なのだと思う。



ちょっとだけ胸がきゅっと締まる感じかする。



「紗和ちゃん、気を付けてね?そう思って騙されてると、大変だよ?」



「へ?」



「陸って本当はとんでもないオオカミだからね?」



じゃあねと、手を振って去っていった玲奈先輩。



オオカミって…大神?



そういえば、大神って先輩にあまり似合わないな…。


先輩はウサギかチワワって感じかな。



「帰ろっか?」



「あ、はい。」



先輩が手をぎゅっと握ってきたので、そのまま手を繋いだまま帰った。
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