オオカミ先輩の猫かぶり
「ねぇ~うさちゃんからも何か言って?」


「わっ私!?」


まさかの私にふるなんて。


というか、仲澤先輩が陸先輩に何をお願いしてるかも知らないのに。


あ、ちなみにうさちゃんは宇佐美のうさです。


「紗和に話しかけんな。」


仲澤先輩から私を隠すように立つ陸先輩。


こんなこと言うなんて珍しいな。


「大神ってば、うさちゃんに知られたら嫌なんだねぇ?」


「え?私に?」



私に知られたくないこととか、そう言われると逆に知りたくなるじゃん。



「そう、だって…」


「仲澤。分かったから。やる。」


仲澤先輩の言葉を遮って言う陸先輩。


さっきまであんなに嫌がってたのに…。


そんなに私に知られたくないことなのかな。


「ありがと。大神。」


「はぁ。」


不満そうにため息をつく陸先輩を見て、仲澤先輩はニヤリと笑う。


「じゃあね。大神とうさちゃん。」


「えっちょっ仲澤先輩っ。」


「バイバーイ。」


仲澤先輩はそのまま行ってしまった。


結局教えてくれないんですか。


「邪魔者も居なくなったし、行こう?」


「えー…。教えてくれないんですね?」


ぎゅっと手を握っているくる先輩
、私も握りかえす。


「だーめ。」


「えー…。わかりましたよ。」


多分いくら言っても教えてくれないんだろうな



口を尖らせる私の頭を先輩は撫でる。


それはそれとして嬉しいわけで。


まぁ、先輩はやましいこととかないだろうし、いっか。
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