あの日々を忘れない【完】
ガッカリしながら視聴覚室を
出た瞬間――――……
結衣
「…………っ。
………かえで‥早くいこ。」
一瞬心臓を誰かに殴られた
ような衝撃を受けた。
本当はすごく不安だった。
本当はすごく怖かった。
逢いたくなんてなかった。
逢ったらきっと‥‥‥
泣いてしまう気がしたから。
逢いたかった。
世界でいちばん愛した男に
ずっと逢いたかった。
逢えない日々は寂しすぎて‥
やっと逢えるって思った。
でも同時に切なさが込み上げた。
だって‥
もう結衣と雄大は
結ばれないから。
二人は愛し合えないから。