鬼に恋した鬼使い(仮)
鬼の笑顔
そのあと、鬼役所をでて新しいパートナーの鬼と家に向かった。
「ハルカ様。」
その途中で、鬼が遠慮がちに口を開いた。
「パートナーになりましたので、私の名前を決めて頂いていいですか?」
「あ!そ、そうだったね…」
鬼はパートナーがいない間は名前がない。
当然この鬼も今名前は無い。
新しいパートナー(主)が鬼に名前を与るのが決まり。
名前を付けることで正式にパートナー契約が結ばれることになっているのだ。
信じらんない状況のせいで忘れてた。
どうしようかと考えていると、フッと昔の記憶が蘇った。
そういえば昔……――
「――アル…はどう?」
私の後ろを歩いていた鬼に、振り返って聞いた。
「アル…」
アルは確認するように呟くと顔を緩ませた。
よかった。
どうやら気に入ってもらえたみたい。
「…素敵な名前です。」