鬼に恋した鬼使い(仮)
「よかった。それじゃあアルで決まりね」
これで契約は成立。
アルは正式に私のパートナーだ。
「……ハルカ様。なぜアルという名前に決めたのか、聞いても言いですか?」
アルがそう尋ねてきた。
「小さい頃にね、初めて鬼に付けた名前が、アルっていう名前だったの」
今ではぼんやりとしか思い出せない昔の記憶を辿っていく。
あの頃は名前を付けることが契約の印しだって事は知らなくって…
だから名前の無いその鬼に勝手に名前をつけてしまった。
「なんだかあなた見てたら、そういえばって、その鬼を思い出しちゃって。それでアルって名前にしたの」
「……。」
アルは黙って聞いていた。
そういえばその鬼も人の姿をしていたような……。
だから思い出したのかもしれない。
今思えばその鬼もすごい鬼だったのよね。