鬼に恋した鬼使い(仮)
ずっと黙っているアルが気になって、アルに視線を移した。
アルの綺麗な紅い瞳と目が合った。
どうやらずっと見つめられていたみたいだ。
とても優しい目で。
ドキッ…
あまりにも綺麗な目に、不覚にもドキッっとしてしまった。
「今でもハルカ様に覚えていてもらえてるなんて、その鬼は幸せ者ですね」
そういってアルは微笑んだ。
さっきまでずっと硬い表情だったアルの笑顔に、私は息苦しさを感じた。
私はとっさに前を向き直して手で顔を覆った。
今きっと、顔が赤い。
鬼相手にドキドキしているなんて変だよ。
振り返ってチラッとアルを見てみる。
すでに硬い顔付きに変わって、変な行動をとってた私を不思議そうに見ていた。
それからお互い会話はなく、アルは家に着くまでずっと硬い顔をして黙ったままだった。
これからの生活を想像して早くも溜息をつきたくなる。
そうしてるうちに家に着いた。
「ここがうち!どうぞ入って?」
ドアを開けて、アルに中へ入るよう促す。
「…失礼します」