女王様は上機嫌【GL】
「じゃ‥‥じゃあ、わたしはこれでっ」
わたしは右手を振ってそそくさと立ち去ろうとした。
でも。
千鶴の手がわたしの手首を掴んで。
「なんか用があってつけてたんじゃねえの?」
わたしの耳元で、そう囁く。
慌てて千鶴から離れるわたし。
「いや、でもほら、デートの邪魔しちゃ悪いしっ」
千鶴の背後に佇む神崎に目を向ける。
神崎はじっとわたし達を見ていた。
無表情で。
けれど、わたしと目が合った途端に口を開いて。
「俺達、喫茶店行くつもりだったんだけど。藤木さんも行く?」
取り繕うような笑みを浮かべて、神崎が言った。