女王様は上機嫌【GL】
 

映画館のすぐそばにある喫茶店に入る。

「いらっしゃいませー」

店員の声に迎えられて、わたし達は窓際の席に座った。


「わたしはメロンソーダ」

「俺は‥‥コーヒーかな。藤木さんは?」

「えっと、ミルクティで」

注文を終えると、千鶴はパンフレットを我が物顔で読み始める。

それ、神崎が買ったやつでしょ‥‥。



「映画、面白かったね」

「えっ? ――あ、うん、そうだね」

千鶴がパンフレットから目を離さないから、わたしが神崎とお喋りするはめに。

正直、あんな怖い映画のことは早く忘れたいんだけどなあ。


「あまりCGに頼ってないところが良かったね」

「――う、うん?」

「藤木さんも、ホラーはアナログな質感のほうが合ってると思うだろ?」

「そ、そうだねえー」

「ただ、幽霊が騒がしすぎる感じは残念だったかな。物静かなほうが怖いと思うんだよ」

「あ、ああ。わかるわかる」


ど・う・で・も・い・い。


ていうかこれ、神崎と千鶴のデートなんだよね?

二人で会話しろよ!

ホラーなんて興味ないよ!

 
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