女王様は上機嫌【GL】
飲み物が運ばれてきて、しばらくすると。
千鶴がガタンと音を立てて立ち上がった。
「宝田さん?」
「ちょっと手洗い」
そう言ってスタスタと歩いていく千鶴の後ろ姿を見て、
「あ、わたしも!」
思わず、追いかけた。
「――女ってほんと連れション好きだよな」
トイレの個室から出てきた千鶴は、わたしを見て顔をしかめた。
「いや、別にトイレに用があったわけじゃなくて‥‥」
「ふーん?」
「学校、休んでたじゃん。どうしたのかなって」
「ただのサボり」
千鶴は手を洗いながら、さらりと答える。
「なんでサボってたの?」
「サボりたい気分だったから」
ダメだ。
まともに答える気はないらしい。
わたしは質問を変えることにした。
「――その顔、どうしたの?」
鏡に映っている千鶴の顔を見つめて、尋ねる。
左頬の白いガーゼがやっぱり痛々しく見えた。