女王様は上機嫌【GL】
鏡の中の自分と目が合う。
酷い顔だ。
表情が強ばり、顔から色が抜けている。
このままでは戻れない。
わたしは深呼吸をした。
顔色を取り戻してからトイレを出ると。
千鶴の姿がなくなっていた。
「千鶴は?」
「なんだか、用事が出来たって言って帰ったけど」
「そっか‥‥」
神崎に落胆の色は見えなかった。
たぶん、そう、わたしのほうが落ち込んでいる。
神崎がカップの中身をスプーンでかき混ぜる。
「藤木さんは、宝田さんのことどう思う?」
「―――」
なぜだかドキリとして、返答に詰まったわたし。
「どうして藤木さんと宝田さんの仲が良いのか、俺にはわからないんだ」
神崎は探るような瞳でわたしを見た。
でも、どう答えればいいのかわからない。
わたしと千鶴の仲が良い、とは思えないからだ。
少なくとも、今は。