女王様は上機嫌【GL】
「神崎くんはどうして千鶴が好きなの?」
矛先を変えるために口を開いた。
けど。
「好き――じゃないよ」
返ってきた答えは意外なものだった。
神崎は表情も変えずに、コーヒーに口をつける。
わたしの頭が混乱し始めた。
「え?」
「別に、好きじゃないよ」
神崎の静かで冷めた声が、鼓膜に刺さる。
「嫌いだよ、あの人」
はっきりと神崎が告げて。
わたしは言葉を失う。
「宝田さんの噂って知ってる?」
「うわ‥‥さ?」
「知らないんだ。藤木さんらしいけど」
困ったように笑われた。
ああ、なんか。
頭の中がぐるぐるする。
「藤木さんも気を付けたほうがいいよ、あの人には」
神崎が伝票を持って立ち上がった。
どうしよう。
頭の中がぐるぐるして、すごく気持ち悪い。