女王様は上機嫌【GL】
 

「先生もいないし。ここまで来た甲斐がないよう!」

大きな声を上げたユカを、図書室にいる数人の生徒がチラ見した。

「ちょっ、ユカってば声おっきいって」

「あ。ごめんなさ~い」

ユカと一緒に周りに向けてペコペコと頭を下げる。


うーん。

図書室っていかにも真面目そうな人種がいるんだなあ。

勉強してる人もいるし。

期末考査が終わった後なのに、よく自主的に勉強する気になるよなあ。



「中里先生って図書委員会の顧問だっけ?」

ユカのお目当てはもちろん中里先生なわけで。

話を振ると、彼女は途端に笑みを浮かべる。

「うん、そう。だからたまに図書室に出没するらしいよ」

「たまに?」

「顧問なのに、あんまり図書室に来ないんだって~」

「顧問なのに?」

「うん。顧問なのにっ」

クスクス。

ふたりで顔を突き合わせて笑った。


すると突然、ガシッと頭を掴まれる。

しかも背後から低い声が――。

「本も読まずに噂話してんのは、だ~れ~だぁ~」

 
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