女王様は上機嫌【GL】
「そういや奈々子。お前、千鶴とケンカでもしてるのか?」
突然、先生がそんなことを言い出した。
わたしは思わず、唾を飲み込む。
「千鶴のやつ、寂しがってるぞ」
「いや、まさか‥‥」
「『奈々子とお喋りしたい!』って千鶴の後ろ姿が言ってたし」
「後ろ姿って」
「本当だって」
そんなはずない。
だって、千鶴がわたしをシカトするんだもん。
だから。
それを『寂しい』なんて、そんなのおかしいじゃないか。
「なんだその顔はー。先生の言葉を信じてないな?」
無意識に口をへの字にしたわたしに、先生が詰め寄る。
そんなとき。
「――先生、あのね」
ユカがなぜか神妙な面持ちで口を開いた。
「宝田さんのことで、聞きたいことがあったんだけど‥‥」