女王様は上機嫌【GL】
先生の眉間にはシワができていた。
「――どこからそんな噂が出たんだ?」
「え? えーと‥‥誰が言い出したのかはわかんないですけど」
「そうか‥‥」
眉尻を下げたユカの頭に、先生の手が伸びた。
子供にするみたいに軽く撫でる。
途端にユカの頬がぽっと赤くなった。
先生の目がわたしに向く。
「まあ、とにかく。ケンカはアレだから。たぶん後で後悔するから、な?」
あ。
話を逸らした。
「ていうか、ここは図書室だからな。本を読みなさい、本を」
「‥‥でも、先生。本読むと眠くなっちゃうんです」
「なにしにここに来たんだお前ら」
「ちょっと涼もうかなーなんて」
「はいはい。クーラーぶっ壊れてて残念だったな」
ユカと先生のやりとりが、すっかり日常的なものへ戻る。
結局、先生は噂について肯定も否定もしなかった。