女王様は上機嫌【GL】
公園に着くと、千鶴はベンチに座り込んだ。
ゼーゼーと肩で息をしている。
ほんとに体力ないんだなあ。
自動販売機で買ったサイダーを彼女に渡して、わたしは隣に腰を下ろした。
「ごめん」
「‥‥っ。だからっ謝るくらいなら」
「うん。ごめん」
千鶴の顔が訝しげに歪む。
「ごめん」
「‥‥何回謝るんだよ」
「ごめん。あのときちゃんと話聞かなくて」
あのとき。
千鶴の体にアザがあると知ったとき。
見たくなくて考えたくなくて、千鶴をただ責めてしまった。
千鶴はサイダーをごくりと飲み込む。
夜の闇の中で肌の白さがぼんやり浮き上がっていた。
わたしは少し躊躇いながら。
「‥‥お父さんが殴るの?」
その横顔を見つめて、問う。