女王様は上機嫌【GL】
女王様の事情
友達ごっこ
千鶴が転校してきてから数日が経った。
彼女の存在はクラスに溶け込む様子がない。
とにかく、浮いている。
「あの、宝田さん」
休み時間にクラスの女子が千鶴に話しかけた。
「なに」
「先生が呼んでたよ。図書室の本がどうとかって」
「ああ」
ガタッと席を立って、教室を出ていく千鶴。
それを確認してから、女子は胸を撫で下ろした。
「緊張した~」
すると、近くにいた女子が同調する。
「わかるわかる。宝田さんと話すのって緊張するよね」
「なんか怖いんだよねえ」
「ヘタなこと言うと罵倒されそうだし」
「綺麗な顔してるから、迫力あるし」
「見た目だけなら旧家のお嬢様っぽく見えるのになあ」
「ほんとにね~」
なんてもったいない美人なんだ、とみんなが思っていた。