女王様は上機嫌【GL】
その日の体育の授業は、バスケットボールだった。
「奈々子はうちのチーム!」
「違うよ、うちのチームだって!」
わたしはクラスメイトに挟まれ、ちょっと困って笑う。
わたしは運動が得意だ。
特にバスケットボールは、けっこう自信があって。
クラスの女子の中では一番上手いと思う。
みんなもそう思ってくれているようで。
試合形式のときはわたしの取り合いになるのが、いつものことだった。
「前はこっちのチームだったから、今日はあっちに入るよ」
楽しくバスケットができれば、本当はどっちでもいい。
でも、楽しくやるためには気遣いが必要なのだ。
千鶴は体育館の隅でひとり佇んでいる。
「ほらほら、バスケやろうよ」
わたしが声をかけると、
「うるせえ。脳筋バカ」
なんて忌々しそうに呟いた。