女王様は上機嫌【GL】
もしも階段の上に誰かがいたら。
それが、なんだっていうの?
――ざらり。
嫌な感覚がした。
思考することを、感情が拒否しようとしている。
「‥‥いや、気のせいだ」
だから、千鶴がそう言って首を振ったとき。
わたしは明らかにほっとした。
「大丈夫? 保健室行こうか?」
「必要ない」
「でも、一応」
「いいよ。うざってえ」
千鶴は本当に大丈夫そうだ。
多少は手すりのお世話になりながらも、また階段をのぼりだす。
けれど、ふと。
階段の途中で振り返って、わたしを見た。
「あんたはいつまでそこに座り込んでるつもりなんだよ?」