女王様は上機嫌【GL】
 

「病院に行ったほうがいいわねえ」

腫れ上がった足首に包帯を巻きながら、おばちゃん保険医が言った。


「び、病院ですかあ‥‥」

「ちゃんと調べてもらったほうがいいでしょ」

「はい‥‥」

「中里先生呼んでくるわね。家まで送ってもらいなさい」

おばちゃん保険医が室内を出ていく。



わたしは後ろを振り返った。

扉のそばに千鶴が突っ立っている。

「先生ったら、大袈裟だよねえ」

あははと笑いかけると、千鶴の米神が小さく震えた。



千鶴が肩を貸してくれたから、わたしは保健室まで辿り着けたのだ。

「ごめんね、付き合わせちゃって」

そう言うと、千鶴がゆっくりと息を吐く。


「どけ、と言っただろ」

「あ、うん。聞こえたけど‥‥」

あのときは、とっさに避けることなんかできなかったし。


それにたぶん、余裕はあっても避けなかったと思う。

 
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