女王様は上機嫌【GL】
千鶴はスクールバッグを肩にさげて、教室から出ていこうとする。
その背中に、チームメイトが声を投げかけた。
「今日はありがとうね!」
ぴたり。
千鶴の動きが止まる。
そして、ゆっくりと振り向いて。
「奈々子の代わりにわたしが入ったせいで、ボロ負けしたんだろ」
わずかに眉間にシワを寄せて、そう言った。
「馬鹿じゃねーの」
小さくチッと舌打ちして、扉から出ていく。
「――――」
廊下を歩いていく足音が消えた頃。
「――ねえ、あれってツンデレ?」
チームメイトのひとりがそう呟いたから、
「ツンデレって!」
「ツンツンしかしてないじゃん?」
「あ、でもさ。わたし達が点取れるように考えてくれたし、それをデレとしてカウントするとー」
「デレをカウント?!」
「でも、ツンデレだと思うとちょっと可愛いかもねー」
あははははー。
なぜか千鶴の態度が笑い話になってしまって。
こんな会話を千鶴が聞いたら怒るんだろうなあ。
なんて思いつつ、わたしも笑ってしまったのだった。