女王様は上機嫌【GL】
その日の夜のこと。
そろそろ寝ようかと布団に潜り込むと、携帯の着信音が鳴り出した。
千鶴からだ。
珍しい。
「どうしたの?」
〈別に〉
「‥‥ふーん?」
千鶴が用もなく電話をかけるなんて、そんなことあるんだろうか?
「今、どこにいるの?」
〈部屋〉
千鶴の声が小さくて、わたしは携帯の音量を上げた。
すると、後ろからガチャガチャと物音が聞こえてくる。
「誰かいる?」
〈――父親〉
「え、お父さん?」
〈帰ってきた。いつもはいないくせに〉
――あれ?
なんか変だ。
千鶴の声が震えているように聞こえる。