女王様は上機嫌【GL】
〈いつもはいないくせに、たまに帰ってきたら一言も喋んないし〉
「千鶴?」
〈ほんと、息が詰まって仕方ねーよ〉
――ガチャン!
突然、なにかが割れるような音が携帯の向こうから響いた。
驚いて息を止めると、ふう、と千鶴が溜め息を吐く。
「‥‥ど、どうしたの?」
〈皿が割れただけだ〉
「大丈夫? 怪我とか」
〈してない。寝る〉
「え」
ブツッ。
通話が切れる。
それだけ?
ほんとになんの用件もなかったのか。
わたしは携帯を持ったまま、首を傾けた。